今回は、歯科矯正の父として知られるエドワード・H・アングル博士について解説していきますね!エドワード・H・アングル博士って?エドワード・H・アングル博士(1855年-1930年)は、20世紀で最も影響のある歯科矯正医であり、矯正歯科分野の発展に大きく貢献したことで知られています。アングル博士はアメリカのペンシルベニア州で生まれ、1876年にペンシルベニア歯科大学を卒業しました。その後、ヨーロッパへ渡り、矯正歯科の技術と理論について学びました。アメリカへ帰国した後は、歯と顎の位置が正常でない状態を指す「不正咬合」という用語を世の中に広く知れ渡らせました。アングル博士は、上下の6歳臼歯の位置関係を基に不正咬合をさまざまなタイプに分類し、「アングルの分類」と呼ばれる概念を導入したのです。アングルⅠ級(正常咬合)このタイプの不正咬合では、上下の第一大臼歯(6歳臼歯)が正常に噛み合っている状態を指します。矯正治療ではアングルⅠ級の咬合状態に近づけることを目的としています。アングルⅡ級下顎の大臼歯が上顎の大臼歯に比べて後方に位置している状態です。このタイプの不正咬合は、下顎が後退して上顎が前方に突き出している場合(上顎前突)に見られます。アングルⅡ級は1類(division 1)2類(division 2)とさらに細かく分類されます。二級1類は上顎前突や前歯の突出が明確に見られる異常咬合があり口呼吸が影響しています。Ⅱ級2類の場合は通常、正常な鼻呼吸が行えることが多く、上顎前突はないが上の前歯の後退が伴っていることが多いです。アングルⅢ 級下顎の大臼歯が上顎の大臼歯に比べて前方に位置している状態です。このタイプの不正咬合は、上顎が後退して下顎が前方に突き出している場合(下顎前突)に見られます。また、アングル博士は様々な矯正器具の開発にも取り組み、46件もの特許(patent)を取得しています。アングル博士は矯正歯科教育の推進にも貢献しました。臨床業務に加えて、ミネソタ大学で比較解剖学と歯列矯正を教え、その後はノースウェスタン大学、マリオン・シムズ医科大学、ワシントン大学医学部の教授にも任命されました。やがて、歯科矯正の専門分野に特化した教育機関が必要だと考えるようになり、1924年にエドワード H アングル歯科矯正大学(Angle School of Orthodontia)を設立しました。くま先生のまとめ今回は現代の矯正治療の基礎を築いたエドワード・H・アングル博士についてご紹介していきました。噛み合わせの異常は、顔貌や歯並びだけでなく咀嚼機能にも影響します。現在でも矯正医が噛み合わせを見る際にはアングルの分類の診断に基づいて治療計画をつくっています。アングル博士の研究、発明、教育は現代の矯正歯科の地盤となり、世界中の有名な矯正歯科医に影響を与えました。